渦はきっとこれからも誰かを飲み込んでいくはず
Epilogue 最後の日
窓から見える桜が綺麗だ。
今日でこの教室ともお別れだ。
明日から俺たちはもう少し高いところからこの桜を見ることになる。
春は別れのシーズン。
俺たちは既に眞島と別れを告げた。
四月からうちの学校の姉妹校に赴任するらしい。
別れの際、クラスのムードメーカーの五木の発案で大量のふがしを贈呈した。
そして明日の夜は美咲とのお別れ会。
あ、勘違いしないでくれ。
美咲との関係は円滑な上熱々だ。
ただ、夢をかなえるために学校を辞めて東京にでるらしい。
夢?銀座の高級スナックのママだってさ。
俺は美咲らしいって大賛成。
ただあえて不満を言うなら・・・店はI県内に建ててくれ!!!
「やめろよ〜」
「いいじゃん。面白そう!」
「そうだぜ!なあ!!」
「やだ!絶対やだ!!!」
記念館に続く通路となりのクラスの男子三人がじゃれあいながら歩いている。
これぞ俺の理想の青春。
「・・・羨ましいなぁ・・・」
俺はボソリとこぼした。
今、俺はこの生活と別れを告げ損ねちまったことを多大に後悔中。
「どうした?浮かない顔して。」
でた。後悔の原因。
「うるせーよ!寄んな!お前なんかアメリカにイッテシマエバヨカッタンデスヨー!」
「うん。わかった。わかったけど何で片言?」
「うるせー!うるせー!うるせー!!!俺は昨日オールだったんだよ!眠いんだよバカヤロー!!」
修二に襲い掛かろうとした途端、ケータイが鳴る。
亜紀からメールだ。
<・・・のわりにはテンション高いね。>
教室の隅でオタク仲間としゃべっている亜紀を見る。
奴は中途半端なウィンク。
メールで突っ込んでんじゃねーよ!
そしてキショイ!
「あー。もうヤダ!お前らのお守りすんの飽きたぁ〜!!」
外を見た。
さっきの三人組の一番トロそうな奴がこっちの方をじっと見つめていた。
「?」
そのとき、俺は僅かながらも何かを感じていた。
共鳴って奴なのかな?
だけど、本当に“わずか”だったからそん時はそいつの顔も忘れちまったんだ。
家に着くなり制服のままソッコー就寝。
別に遊んでたわけじゃないんだぜ?
昨日は正義のために怪獣と戦ってたんだ。
嘘じゃない。
皆知ってるだろ?俺の華麗なる活躍ぶりは。
気づいたら俺は星空の下に居た。
ああ、夢だ。
夢なんて久しぶりに見る。
目の前に一人の男。
暗くて顔が見えない。
「ミズキ・・・聞こえる?」
「ん?・・・あぁ」
俺はわけも解らず生返事。
「渦はね、止められないんだ。渦はまた巻き込むよ。4つの心を。恐怖と不安と嫉妬と愛を・・・。」
十分に睡眠をとったころ、ケータイが鳴った。
HYの『AM11:00』。この着信は・・・
俺は飛び起きた。
修二作の『影』探索アプリ「影時くん」だ。
H市のN町の辺り・・・修二ん家からそう遠くは無い。
俺は時計を見た。夜の八時。
あぁ・・・不規則生活万歳。
「お、みっつぁん!」
「誰がみっつぁんだ。」
電車の中で偶然、亜紀に会った。
「明日から二年生だね。」
「まぁな。」
「二年生になっても影師がんばろうべね。そんでできればメンバーも増えて欲しいなぁ・・・」
「そうか?」
「だって楽しくなりそうじゃん。」
「お前は何もしてねーかんな。」
亜紀が何かを言うと本当になるから怖い。ま、偶然だろうけどね。
N駅に着いた。
改札に修二から支給されたスイカを乗せて、スイスイっとくぐった。
アイツ、修二はどんだけ金持ちなんだろうか。
今年の正月なんか超高級料理店につれてってもらったんだぜ?
まあそん時の事はまた後で時間が有るときに話すよ。
まだ修二は来ていないようだ。久しぶりの一番乗り。
「ミズキ、山崎!!」
修二は息を切らしながら俺たちの元に駆け寄った。
「どうした?」
「壊れた!」
修二は画面が真っ黒になった初代『影』レーダー(#4)を見せた。
「寿命なんじゃね?」
「半年も経ってない」
「ひょっとして・・・凄い『影』が来てるんじゃない?」
「えー・・・」
修二は名残惜しそうに『影』レーダーを見た。
そんな時。
「うわぁぁぁぁぁぁーーーー!!」
男の悲鳴。
「お前ら!とっとと片付けっぞ!」
「了解!」
「ラジャ☆」
「あーあ・・・メガネ割れちゃってる・・・」
修二は頭から血を流している少年を抱き上げる。
「傷、直せるか?」
「もちろん」
奴は親指を立ててニコリと笑う。
ああ。眞島を思い出す。
別れを告げた人間達は心からはまだ消えたりはしない。
「っしゃあ!公園だし思う存分暴れられるぜ!」
覚悟しとけよ!
『影』はうなり声を上げ、俺を睨んだ。
久しぶりの直接対決。
最近は人に憑いた『影』と戦う事が多かったかんな。
『影』が俺に向かって突進してきた。
俺は片手で銃を構え、四発放った。
「何度も見るけどホント綺麗に治るよな。」
傷の塞がった少年の額をなでる。
コイツ、メチャメチャまつげが長い。
修二君といい勝負。
「思い出した!この人、三組の高橋君だ!」
修二はポンと手を叩く。
「マジ?こいつ高校生なの??」
ってっきり中学生だと思ってた・・・。
「ホラ、テニス上手い・・・」
「「誰だよ・・・」」
亜紀と俺の声はひとつになった。
高橋?をベンチに置き去りにして今日はお開きになった。
散っていく桜の花びらを浴びて気持ちがいい。
俺が願う事はこれ以上渦の餌食になるやつが出ない事だ。
亜紀とは正反対。
だけど。もし、あんたが渦に巻き込まれちまったら。
そのときは俺が全力で守ってやるから。
『影』からは身を守れても俺にハートを奪われちゃうかもね。
あまりにカッコ良くて惚れちゃうかんな!
これで俺達三人だけの日々の物語はおしまい。
終わりは始まり。
新しい出会いに胸を弾ませ、俺たちはじゃれ合いながら桜並木を歩いていった。
後ろでごうごうと音を立てて大きくなっていく渦に気づかないまま・・・
END
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>>だいぶ遅れたあとがき
これを書いてからもう一年以上がたつのですが
私が書いた作品の中でこれはもっとも傑作なので(レベル低いなぁもう。)
今読んでも結構楽しめたりします。
個人的には3話のエピソードが好きです。
変態とか言わないでください。とにかく好きなんです。
これからも彼は過去と戦うことになるんですが彼なら解決の糸口をきっと見つけられるはずです。
ミズキの過去のエピソードは絶対に書きたかったんで注意書きまで入れてやっちゃいました。
まあこの程度でひるむひとはたぶんいないので改装後は注意書きを消しちゃいましたが。
登場人物は皆健全(?)な高校生だし!
これから他の人たちの過去もどんどん書いていこうと思います。
まあやつらの中に過去が何にもないひともいるんですけどね。千秋とか。あ。言っちゃった(笑)
次回から夢の章です。
主役は永久に移るわけですが変わらずミズキ達渦メンバーも活躍しますのでそこのところはよろしくお願いします。
むしろ主役はミズキのまんまです。すいません。うそつきました。
ただ、彼らは時の流れにより少しずつ変わっていきます。
考え方、内面。それは彼らそれぞれ違いますが新たな影師、初恋、そして立ちふさがる強敵。
影氏たちから目がはなせませんよ!(宣伝)
それでは。さいごになれいましたがPARTY LIFE〜渦の章〜を最後までよんで下さった方ありがとうございます。
不快に思った方はすみませんでした。
それでは、これからも精進するよう努力していくつもりですのでできれば見捨てずにいてください。
2006・5月末日 成塚 忍
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